日本にはアメリカから西洋りんごが導入される以前に既に中国から
「和りんご」と呼ばれるものが入っていました。
写真はその「和りんご」で学名はMalus Asiatica。
大きさは直径が3−4cmでピンポン玉程度とのこと。和りんごの
ルーツは中央アジアの天山山脈と言われている。中国西部の新疆
近辺で、タクラマカン砂漠の北方にあたる。
農業に関する世界最古の古典といわれる中国の「斉民要術」
(540年頃に編纂)巻四(果樹類)第三九に「ナイ」
(ヨーロッパ系)と「林檎」(天山山脈系)の2種類が記載されて
いる。「林檎」はlinkumと読んだ。
「林檎」(和りんご)は日本には奈良時代に中国から入ってきたと
考えられている。西洋りんごが導入される1100年程度前の
ことになる。文献では中国の唐の時代659年に編纂された医薬書
「新修本草」が731年には日本に伝来しており、日本大百科全書
(小学館発行)によれば「新修本草」の和訳である「本草和名」
(918年)では「林檎」を「りうこう」と呼んでいたようである。
「本草網目啓蒙」(1803年)には「林檎」の読み方として
「りうこう」や「りんご」が登場。
「和りんご」は昔はお盆の時期に仏前に供えられたとのこと、
現在日本では食用として見かけることが無いが、私は2005年
3月に北京を訪問した際にガイドに確認したところ中国では現在でも、
この和りんごを食べる場合があるという。
青森県農林総合研究センタりんご試験場(黒石市)に、この
「和りんご」の大木があり、毎年8月が収穫時期だという。
遠く天山山脈にルーツを持つ「和りんご」は、どんな味なのでしょう。
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