『PEANUTS』とは… |
白いビーグル犬「スヌーピー」、その飼い主「チャーリー・ブラウン」、そして、彼らの仲間である個性的な子供達と動物達。そんな登場人物が活躍するユーモアとあたたかさでいっぱいのマンガが『PEANUTS』です。
「スヌーピー」は自身をペットではなく人間と思い、自由奔放に生きて行動している不思議な犬。
「チャーリー・ブラウン」は何をやっても失敗ばかりで、気弱な性格。
このマンガに出てくるキャラクター達は私達の身近にいるような性格ばかり…だからこそ、親しみが持て、共感が得られるのです。
さらに、ストーリー内では1人として大人が出てくることはありません。(影が出たりはしますけどね)
そんな素敵なマンガを描いたのはCharles M. Schulz(チャールズ・M・シュルツ:1922/11/26〜2000/2/12)氏です。
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『PEANUTS』の誕生 |
さて、『PEANUTS』はアメリカを中心に日曜日版のマンガとして浸透していきます。
が、そのはじまりはどうだったのでしょうか。
1950年10月2日、『ワシントン・ポスト』に連載が開始されたのが『PEANUTS』の誕生です。
ちなみに、スヌーピーの初登場は「翌々日の10月4日」になります。
連載当初は、チャーリー・ブラウンやスヌーピーをはじめ3人と1匹が出てくるだけで、誰が主役というのもありませんでした。(今もないと言えばないのですが…)
しかも、現在2足歩行のスヌーピーはまだ4本足で歩いています。(「犬」としての登場だから)
1952年5月27日、スヌーピーが今のように考えていることを言葉にするようになりました。
ルーシーやライナスが登場しはじめたのもこの頃です。
1958年には、スヌーピーが2本足で立つようになり、今の『PEANUTS』の原型ができあがりです。
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『PEANUTS』誕生までの秘話 |
『PEANUTS』の連載がはじまり、次第に有名になった…と、順調だったわけではありません。
さらに言うと、実は『PEANUTS』というタイトル、元は違う名前でした。
シュルツ氏は小さい頃から絵の才能がありました。
マンガ家を本格的に目指していく上で、戦争での徴兵、下積み時代とけっこう苦労しています。
戦後は1日も休まずマンガを書き、売り込み続けた結果、数枚の1コママンガの掲載が決まりました。
さらに、シュルツ氏は『L'il Folks(ちびっ子たち)』というマンガを配信会社に売り込み回りました。
結果、ユナイテッド・フィーチャー・シンジケート(UFS)のフリーマン氏の目にとまり「1コママンガではなく何コマかにしたらどうか」というアドバイスを得ます。自分でもそう考えていたシュルツ氏はその通りに変更し、配信してもらうチャンスをつかんだのです。
シュルツ氏のマンガは、子供を題材にした今までにあったマンガとは明らかに違います。
1話完結の4コマの中で、子供の身の回りに起こる小さな出来事を深い眼差しで描き込んだストーリーです。
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『PEANUTS』という名前 |
連載が決まったのもつかの間、問題が起きてしまいます。
当時、既に『L'il Abner』『Little Folks』というマンガが存在していたため、シュルツ氏の『L'il Folks』は著作権問題で使えないというのです。
そこで、タイトルはUFSにより『PEANUTS』に変えられました。
これが『PEANUTS』になった理由です。
でも、シュルツ氏はこのタイトルにひどく落ち込み、最後まで『PEANUTS』という言葉に「取るに足らない」「つまらない」というイメージがあることを気にかけていました。
そんな彼の気持ちとは裏腹に、UFSと新聞各紙では『PEANUTS』というタイトルがとても気に入りました。
親しみやすい内容とどんな新聞にも掲載しやすいコンパクトなスタイルにぴったりの名前だったからです。
『PEANUTS』は小さな世界を扱った大きな話題作として絶賛され、現在に至ります。
『ピーナッツ』のキャラクターが読者に愛されるようになるにはそれから数年後。
現在、約50年を経て『PEANUTS』は世界で最も人気があり、息の長いコミックのひとつになっています。
もし一度も読んだことがないという方はぜひ、読んでみてください。
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